片流れ屋根の棟換気
片流れ屋根ということは、棟はないのですが、片流れ用の棟換気というものがあります。
軒先換気というべきところなのでしょうが、軒裏の換気口と区別するためにこのような言い方をしているのでしょうか。
棟換気というやり方はそれほど昔からあるわけではなく、最近になってその弊害(?)もわかってきました。
屋根裏の温かい空気を、一番高い棟の部分で抜くことになるので、非常に換気効率がよく、かなりの勢いで熱気が放出されます。反面、出ていく分の空気をどこかから吸い込まないといけないのですが、工法によっては、軒裏の換気口から入ることになります。そうすると、この軒裏換気口から、かなりの勢いで空気を吸い込むことになります。
たとえば真夏の夕方、屋根裏の空気は日中に暖められているので、棟換気が暖かい空気をドンドン放出していますので、軒裏換気口はかなりの勢いで空気を引き込んでいます。こんなときに激しい夕立があったらどうでしょう。強い風で軒裏にまで雨が巻き上げられますが、その巻き上げられた雨を、軒裏換気口から吸い込んでしまうことがあるのです。
こうして軒裏から雨が漏れるという事態が起こってしまいます。
棟換気がない場合でも、あり得ますが、より起こりやすくなるといえます。
そよかぜの家の場合、外張り断熱で外壁通気工法をとっているので、土台の水切りの隙間から棟まで空気層が続いてます。軒裏換気口がなくても、棟換気は機能を発揮してくれるので、あえて危険を冒さず、軒裏換気口をつけないこともあります。
今回は、片流れなので、吸い込む力がより強くなると考えられるので、軒裏換気口はつけませんでした。
高い方の軒裏で、排出口として軒裏につけることも考えたのですが、万が一の雨漏りの危険を考え、”片流れ用棟換気”というものを採用しました。
ご覧のような断面で、小口はカバーでふさぎます。
これで出来上がり。