現場情報
ごろんぼのカビ
「ごろんぼ」という言葉は何度かご紹介していますが、松の丸太を使った梁のことです。
松といえばすべり止めのロジンなどにも加工されるマツヤニを思い浮かべます(私だけか?)
このヤニが松の強さのもとといわれています。油分が多いので、とても粘り強く、重い荷重にも耐えることができます。
松に限らず、木材は山の斜面に生えていますので、当然株(地面に近い部分)の方で曲って上に向かって伸びます。
この曲った木を人の体にたとえて、外側(斜面の下向き)を背、内側(斜面の上向き)を腹(ハラ)といいます。小屋張りなどに用いられるときは、背を上に向けると、人がお馬さんの格好をして背中に子供を乗せているのと同じで、少々重いものを載せても踏ん張ることができます。これが反対向きだと辛抱できないですよね。(あえてこう用いることもありますが今日は省略します)
私は、この強さを生かして、小屋組以外のところにもよく用います。曲った感じがデザイン的にも面白いので、化粧で使うことも良くやります。
さて、この「ごろんぼ」は前述のようにとても油分が多いため、乾燥させるのに時間がかかります。乾燥機などに入れても芯まで乾燥させることは今の技術ではできません。
また、切る時期にもよりますが、鉄砲虫が入ることも良くあります。
今回使った材料は、ムシは入っておらず、とても素直な良い材でしたが、とても油分が多く、加工するとすぐ表面にヤニが吹いてくるほどです。棟上げの後、雨が続いたこともあり、結構カビがついてしまいました。
ごろんぼにカビがつくのはよくあることで、工事中にだんだんと消えて行ってくれることが多いのですが、今回はなかなか消えてくれません。いよいよ仕上げの工程に入るので、その前にカビ取りをすることにしました。
カビとりは、アルカリの薬剤を用いてカビ菌を殺し、その後中和して完了です。
ベテランの洗屋(あらいや)さんにお願いしましたので、材を必要以上に傷めることなく、カビを落とすことができました。
出来上がりの写真は、また今度ご紹介します。
エコポイント住宅証明書
先日来申請していた、「エコポイント対象住宅証明書」が届きました。
当社独自の仕様を用いての申請だったので、いわゆる仕様規定(断熱材の厚み・種類で認定をとる)のではなく、Q値μ値を計算して申請しました。
事前に、長期優良住宅の申請に向けてCADのバージョンアップをして、温熱環境計算に対応する準備をしていたのですが、いざ実際の物件についてプログラムを走らせると、使いにくことがたくさんあり、福井コンピューターの担当者に方にも何度も問い合わせての計算となりました。
以前にご紹介した遮熱シートでの申請を試みましたが、残念ながら、現在のところ断熱材でないとダメという判断を受け、これについては断熱性を評価しませんでした。今回の場合は、もともと壁にはウレタンを使用していたので、それほど大きな変更もなく、認定基準を満たすことができました。
それにしても、申請をする私も、認定をする機関も、CADのメーカーも、誰にとってもはじまったばかり制度ですから、何かにつけてそれぞれの立場で「確認します」ということが多く、とても時間がかかってしまいました。
それでも今回の申請で、だいたいのやり方がシミュレーションできたので、次からはスムーズにいくことでしょう。
別件で長期優良住宅の認定申請を提出しましたが、今回と同じ計算方法・同じの添付書類をつけたので、見る側もスムーズだと思います。
さて、エコポイント対象住宅証明書が届いたものの、実際にエコポイントを申請するのはまだ先です。
住宅が完成してから、工事証明書・確認済証・検査済証などを添付して、お客様が申請されることになります。
ほかにも、当社でとりつけるエアコンにエコポイントがつきますので、9000P×2台分=18,000ポイントゲットです。
かなりお得な感じですね。
築60年の土蔵を解体
ご覧の写真は、”蔵”の解体の様子です。いわゆる本蔵ではありませんんが、それでもしっかり土は塗ってありました。
昔なら、土も新しいものと混ぜてもう一度使うのでしょうが、今回は処分しました。それでも、写真でも見えている小屋梁は再利用することにしました。
新しい建物にも、化粧針として使います。
60年経った今でも、少しも傷んだ様子はありませんので、そのままの木肌を見せて使います。
これは何でしょう?
実は、解体した建物に使われていた込栓です。樫の木でつくられていますが、先の方は壁土の中に埋まっていたので汚れていますが、木に刺さっていた部分は、つくったときのままです。
あまりにきれいだったので、記念にとっておきました。
気密測定
北白川の現場で気密測定を行いました。
よく、最近の家は気密性が高くなったために機械による換気が必要になったんだという意味のことをおっしゃる方がおられますが、少しポイントがずれています。
そもそも、戦前くらいまでの日本(京都近辺)の家は、吉田兼好よろしく”夏をもって旨とすべし”として建ててこられました。
私が幼いころ住んでいた家も、夏はというと、南北面の建具はほとんど解放され、家の内部の間仕切りも取り外されまたは葦戸に取り換えられて、蚊帳をつって寝ていたものです。
でも冬は、火鉢が常に置かれていて、練炭や豆炭が点いていましたが、これでも一酸化炭素中毒にはなりませんでした。部屋を暖めるという感覚がなく、火にあたって暖をとるという感じでした。
さらに、季節の変わり目には畳をあげて大掃除をし、床下の湿気を開放していました。
そんな暮らしをしていたなら、計画換気は必要ないでしょうが、昨今の住宅の間取りや冷暖房で部屋を暖めるという生活様式では、ちょっと具合が悪いのです。十数年前から出てきたシックハウスは、建材などから出る有害物質が原因というだけではなく、換気不足とそれによる結露が一因であることは明らかです。
そんなことは百も承知のはずなのに、のど元過ぎれば熱さを忘れるというのか、ここ数年住宅業界において換気についての意識が薄れてきています。同時に気密に関しては触れないでおこうというような感じさえします。
多くのメーカーの換気システムは第三種換気といわれる方式ですので、ある程度の気密性能がなければ、計画換気として成り立たないのです。つまり、高い気密性は必要不可欠です。
まあ、換気の話をしだすと長くなるので、このくらいでやめときます。
興味のある方は、「換気って深いんだぁ~」という小冊子を差し上げますので、メールください。
というわけで、当社では高い気密性能を確実にするため、全棟で気密測定を行っています。
ご覧のような大きなファンとコンピュータを接続し、圧力の変化を測定することで、隙間相当面積を推測します。
今回の結果はc=0.6cm2/m2
まずまずの数字です。
模型写真
こちらは今度宇治田原町で建てる物件の模型です。
写真でご紹介します。
60坪近くある大きなお家です。50分の1だと結構な大きさです。
土地柄、オーソドックスな外観を求められました。
庭で撮影したので、実際の日の当たり具合がよくわかります。
屋根をとりはずしたところ。まん中に大きな吹抜けがあり、そこに面して階段があります。この辺はそよかぜの家が得意なところ。
大きな吹抜けがあっても、水平剛性もきちんと検討しますので、長期優良住宅にも適合します。
分解模型をつくると、2階と1階の壁の位置の整合性もよくわかります。
さらに2階をはずしたところ。大きなLDKですが、階段室の北側は採光があまり取れていません。
お客様のご希望によってこのような形になりましたが、図面の段階でも再三説明はしていましたが、これでさらに念押しです。
なるべく間仕切りを減らすご提案をしたのですが、決めるのはあくまでお客様です。だからこそ、模型などで確認していただくことが重要です。
低圧樹脂注入
写真はコンクリートにエポキシ樹脂を注入しているところ。
鉄筋コンクリートの躯体のクラックに、ご覧のように注射器を取付、樹脂を注入してコンクリートの補強を行っています。
エポキシ樹脂は圧縮強度・せん断強度共に強く、注入をすることで元の鉄筋コンクリートより強度が上がるというデータがあるほどで、マンションなどの外壁改修や、木造の建物でも基礎の耐震補強などに用いることもあります。
強度を発揮するためには、クラックの奥の奥まで樹脂を注入する必要があり、そのためにさまざまな工法が開発されています。
中でも、今主流なのが低圧注入工法です。かつてはポンプを使って高い圧力で樹脂を注入していたのですが、細いクラックになればなるほど、クラック内にある空気をうまく排出できず、樹脂が均等に行きわたらないことがわかってきました。そこで、発想を転換して、なるべくゆるい圧力で注入することで、細いクラックの隅々まで毛細管現象を利用して吸い込ませようという工法が開発されました。毛細管現象で吸い込ませるためには、樹脂をシャバシャバの状態にしてやる必要があり、そうするとせっかく注入した樹脂が流れ出てしまいます。そこで、ご覧のようにクラック部分をあらかじめシールして、こぼれ出ないようにして注入するという工法が確立されました。
材料の値段も高く、手間も結構かかるのですが、浮いている部分をはつり出してモルタルなどで補修するよりも、ゴミや騒音が少なく、工期も短縮できます。
今では、鉄道や高速道路の橋梁・橋脚の補強などにも幅広く使われています。
稲荷鳥居
今年も鳥居を作成しているというお話は以前に書きました。今月の11日に建てるようにずいぶん前から手配をしていたのですが、先週の末になって、今週の天気がずーっとよくないというので、急きょ7日の日曜日に建てることになりました。
大工さんの他、穴を掘って足元を固める左官屋さん、笠木に銅板をかぶせる板金屋さんに連絡をとり、みなさんのご協力で無事に予定の工事を進めることができました。
ここのお稲荷さんの鳥居を建てるのは、私にとっては4本目ということになります。建てられる施主は数人共同でされるのですが、メンバーは都度変わります。大勢の方がかかわらる事になるので、いろんな要望が出てきて、毎年何がしか改良や変更が加えられます。
今回は建て方のときに大勢の方が立ち会ってくださったので、工事中に変更することもありました。それがこの写真。
通常10cmくらい立ちあげるのですが、急きょご覧のように40cm程立ちあげることになりました。
黒い部分が短くなってしまい、バランスが悪くなるのですが、泥はねがかからない分腐りにくいでしょう。
ここのお稲荷さんにある鳥居は、ずいぶん昔から地元の方の寄付で建てられており、そのときどきで形や大きさもさまざまです。ですから、赤と黒のバランスもそれほど重要ではないのです。
私としては、いちおう建築のプロとして、”稲荷の鳥居はこうあるべき”というものをご説明するのですが、自分たちで建てた鳥居がまわりのものよりもちょっとだけ立派で、長持ちして欲しいというご希望も当然のことでしょう。というわけで、ちょっといびつなバランスに仕上がることになりました。
もうひとつ今回はスペシャルがあります。奉納した方々の名前を書き込んだ額を付けるのですが、これに額縁を廻ってほしいと頼まれました。そしてさらに、現場で仮づけしたところ、額縁を朱に塗ってほしいとのこと。いろいろと要望がエスカレートしてきます。根巻きモルタルの高さはいろんなのがありますが、額縁を廻ってあるのは他には1つだけ(これは板を2枚剥ぎにしているので廻る必要があった)、塗っているものは一つもありません。これで参道の中で一番目立つ鳥居になることは間違いありません。しかし、そんなに目立ってよいのか少し心配です。
屋上防水工事
屋上防水の改修工事をしました。
鉄筋コンクリートの建物の防水といえば、アスファルト防水やシート防水がほとんどで、改修の際には押えモルタルやシートを撤去して行うやり方がほとんどで、結構大変でした。
今回採用したのは、リベットルーフという工法で、既存の屋根スラブの上に施工する方法をとりました。しかも、新しい防水層の下に断熱材をはさみ込むので、CO2削減効果もあるという優れた工法です。
写真の茶色いのがウレタンパネル、丸いのがIHディスクと呼ばれるもので、このディスクをアンカーで下のスラブに止め付けます。
この上に、防水シートを載せるのですが、いわゆる絶縁工法と呼ばれるもので、下地に密着させずに固定することで、下地が動いても防水層が壊れないようにします。ではどうやって固定するのかというと、先程のディスクにビニル製のシートを溶着させます。
この写真が溶着しているところ。実はIHディスクを、特殊な器具を用いて加熱して溶着させているのです。それが、IHクッキングヒーターと同じ仕組みだから、IHディスクと呼ぶのだそうです。
さらに、シート同士の重ねの部分を溶着して出来上がりです。
下地をめくらなくていいので、工期も早く、ゴミも少なくて済みます。
また、断熱材の効果で冷暖房へのエネルギー消費を抑えることにもつながりますから、その意味でも環境に優しい工法といえます。
雨漏りはなかった
昨日の台風の続報です。
昨年来、増築現場での雨漏りについて完了報告ができないままでしたが、今度の大雨で盛らないことを確認してから最後の仕舞をしましょうということになっていました。
昨日の午後、確認に伺うと大丈夫でした。ということで、やっと完了ということになります。長い間ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。
一方、実は、近所のお寺の庫裏でも雨漏りの周囲依頼を受け、先月屋根瓦の修理をしました。
ここは、20年以上前に古い庫裏を増築した際に、かなり難しい形で納めてある上、10年ほど前に古い方の部分の屋根を葺き替えてありました。新旧の取り合いは大きな谷をつくって納めていますが、そこに古い建物の下り棟が下りてきて、それが新しい建物のケラバに突き当たります。読むだけでも複雑さがお分かりかと思いますが、なんせ筆舌に尽くせない(?!)複雑な納まりなのです。
まずは、谷に穴などがないかを確認しました。相当ゴミがたまっていたので掃除をしましたが、穴は開いていないようです。
ということは、ブラックボックスのような下り棟とケラバの取り合いを見なければなりません。さっそく屋根屋さんに来てもらい、瓦をめくってみました。すると、ちょうど隅とケラバの交差する部分の土が水に洗われたような形跡がありました。瓦の上からはまたくみえない部分です。風が巻いたときに入ってきたのでしょう。そこで、日を改めてこの部分に水切りを入れ、しっくいで固めて瓦を据えてもらいました。これで当分の間はもつでしょうが、十数年もすればまた漏るかもしれません。
とりあえず、こちらも今度の大雨を待って、そのあと天井板の張り替えなどをすることにしましていました。
昨日の午後訪ねてみると、こちらも大丈夫でした。
ついでにもう一つ。こちらは雨漏りはしていませんが、昨年春に引き渡したお宅が少し心配でした。
琵琶湖のほとりに建つ家で、普段でも10mくらいの風が吹くことがありますから、相当な強風が吹いたのではないかと危惧していました。しかも、こちらお宅は、建築家を目指す息子さんが出してこられた概略デザインをもとに設計しており、軒とケラバを大きく出しています。しかも屋根の厚みを薄く抑えるためにいろいろと苦労をしたところです。雪も降る所なので、強度には十分配慮したのですが、風の力は想定を超えることがあります。
こちらはお電話で確認したところ、問題なかったとのこと。
すべてのお客様に一人一人たずねることはできませんが、皆さんのおうちは大丈夫でしたか?
雨漏りや修理のご相談もお受けしていますので、お気軽にお電話ください。
雨漏りはまだ止まっていなかった
5月にここで報告した雨漏りの続報です。
9月になってまたカビが生えてきたという連絡を受け、今度は違う角度から検証しました。
まず、内部のカビが生えている個所をめくり、下地もとりました。すると、下地の木材が湿ってカビが生えています。
この状態で上から水をかけるのですが、前回は漏れるところがなかったので、怪しいところをコーキングしました。
したがって今回は、前回怪しいと思わなかった少し離れた所も含めて検証をしました。
天窓から1mほど離れたところで、わずかに埃がたまっていした。これは風向きとわずかな高さのひずみによって水が吹きだまるような状態になっていたと推測できます。そこで、この部分に水をかけ、さらに重なりの部分に向けて水を押し込んでやると、しばらくして水が内部に落ちました。
そして昨日めくってみると、写真のようにジョイントのコーキングをしていないところがありました。もちろん、表面ではなく、下側(重なりの部分)に捨てシールはしてあるので、ここから侵入しても中までは入らないはずですが。さらによく見ると、重ねの部分に念のためビスで抑えているところがありました。ビス頭はもちろんコーキングしていますが、鉄板の重ね部分まではコーキングが入らないので、先程のところから重なりの部分に入った水が、(白く見えているところは、鉄板のムダ折部分が重なっていたところで、ここを水が流れたものと思われます。)このビスの位置までたどり着き侵入したと考えられます。
つまり、強風で鉄板の重ねの内部に侵入した水が、鉄板先端部のムダ折の部分を横走りし、下張りの鉄板のジョイント部で吸い上げられ、ビス穴から侵入したということになります。当然ゆるいながらも勾配があるのですが、水は勾配に逆らって進んでしまうものなのです。
この事例は、通常ではやらない無理な勾配での施工でした。しかも、接続する母屋と離れの屋根・その下地に入るかもしれない水も拾わなければならず、鉄板ジョイントはその水の出口でもあるのです。ですから、上から来る水が入らないように全部シールしてしまってはいけないのです。
板金屋さんと相談し、大型の水切りいったい型の鉄板を取付、水の排出を妨げないように縦にコーキングを打って貼付ました。念のために打っていたビスは今回は打ちませんでした。
これでしばらく様子を見ていただくことになりました。
合板は30年たつとこんなになる!!
リフォームに伺っている先ではがしてきたフローリングです。
ごらんのとおり、接着部分がはがれてバラバラです。このようなケースは決して稀ではありません。むしろ、20年以上たっている家ではたいがいこうなっています。
ではなぜこんなことになるのでしょう?
20年以上前の家の基礎は、ほとんどが布基礎です。つまり、床下は土のまんまです。もちろん基礎には換気口が付いていて風通しはできています。ところが、地面から上がる湿気というのは相当なものです。ビーチなどでレジャーシートを広げておくと、はがす時に裏が湿っていたという経験はありませんか?山にキャンプに行った時なら数時間でシートの裏はびしょびしょでしょう。それだけの湿気が、地面から放出されているのです。
夏場の床下はカビ臭いことがよくあります。床下換気口から入ってくる空気は太陽によって暖められた地表付近の湿ったものです。それがひんやりした床下にはいると、湿度はぐんと跳ね上がります。さらに室内を冷房していたりすると、冷やされた床板の裏側に結露してしまいます。もちろん、家の下の地面からも水蒸気は絶えず上がってきますから、フローリングは常に過酷な条件にさらされているのです。
フローリングの基材となっているのはいわゆるベニヤ板です。耐水合板とはいえ、何十年にもわたってその性能を発揮できるものではありません。
私のクライアントには、大きな田舎の家を立てられた方が多く、それは立派な材木を使って木舞下地を組んで荒壁を塗って、まさに200年でもびくともしないようなものです。ところが、20~30年くらい前に建てたものだと、当時もてはやされた新建材であるフローリングを使っています。これが一番最初に傷んでしまうのです。
写真のフローリングのお宅では、玄関ホールは桧の無垢のフローリングが張ってあります。この部分も30年という歳月を経て色はあせて汚れているものの、美しい艶を保ち、何よりびくともしていません。これが素材の持つ力です。
私は常々心配していることがあります。それは集成材や構造用合板の寿命です。工業製品である集成材は、無垢材よりも強度があるといわれ、多くのハウスメーカーが採用しています。これが30年たったとき、写真のフローリングみたいになってしまわないだろうかと心配なのです。構造材ですから、簡単に取り換えるわけにもいきませんし、目に見えないところにありますから痛みもわかりません。
ちょうど、木材市場で、杉材がほとんどが集成材の材料として買われているというお話を聞きました。前にも書いたように、構造材としては使い物にならない材料を有効活用するために、集成材に加工しているわけですが、はたしてどうかな?と思うわけです。内装材や家具に使われるのならよいのですが、過酷な気象条件にさらされる外壁や屋根、さまざまな方向から繰り返し荷重を受け続ける構造材は、大丈夫なのでしょうか?何せ実績がないではないですか!!
アパートの出窓で雨漏りが
当社のお客様が経営しておられるアパートで雨漏りがありました。20年ほど前に某ハウスメーカーで建てられた建物ですが、屋根や外壁がずいぶんと傷んでいるので、そろそろ全面的に改修しないといけませんよとお話をしていた矢先でした。
雨漏りの箇所は出窓部分でした。聞くと、出窓に大きな水槽を置いておられたとのこと。おそらく水槽の重みで出窓に想定外の荷重がかかったものと思われます。
一般的な出窓と外壁の納まりは、出窓を躯体に取り付けた後、外壁材を張っていくのですが、この建物は、出窓の屋根も含め、庇などは外壁が仕上がってから取り付けているようで、重みで垂れ下がったためにコーキングが切れたみたいです。
水切りと外壁の取り合い部分のコーキングを打ち直したところ、雨漏りは止まりました。
それにしても、コーキングだけで止水しているというのは怖いですね。早いこと全面改修しないといけませんよ。
そうそう、いよいよ関西も梅雨入りするみたいです。修理はお早めに。
雨漏りか!?
昨年リフォームで、母屋と離れの間にお風呂場を増築しました。軒の下に屋根をかけるので、ゆるい勾配でしか屋根をつくることができません。その上、採光のために天窓をとる必要がありました。
屋根勾配は1.5寸ほど、ガルバリウム鋼板をべた張りしました。天窓は許容勾配よりも緩いのですが、屋根面そのものが小さく水も少ないことから大丈夫だろうと判断し、板金屋さん・サッシ屋さんと相談して、一般的な納め方でとりつけました。工事中に雨漏りのないことを確認して天井を張りました。
あれから半年余りたち、トップライト周りにカビが生えたというので見に行きました。
雨のしずくが落ちたということは一度もないようなのですが、どうもじわ~としみているような感じです。結露の可能性もありますが、2か所ある天窓のうち1つだけなので、雨漏りの可能性が高いです。
屋根に登って、天窓まわりをチェックすると、まず、水切りカバーが少しずれていました。カバーを外してみると、シーリング材がくっついて水切りカバーを押し上げてしまっていたようです。さらにシーリングをチェックすると、立ち上がりの上の方でシールが十分でないところがありました。母屋の屋根との間が狭くのぞきこめないので、ミスに気付かなかったものと思われます。
風向きによってはそこから巻き上げた可能性があります。とりあえず、この部分にシールを充てんし、カバーをきっちりと嵌め、次の雨まで様子を見ることにしました。
事務所に戻って、天窓の納まり図面で確認したところ、先ほどの部分はこってりとシーリングを盛らないといけなかったようです。
施工時の確認不足が悔やまれます。さっそく板金屋さんに連絡するとちょうど近くに来ているようなので、現場に来てもらいました。シーリング不足を説明し、こってりと打ち直してもらいました。
これで雨漏りは止まるはずです。次の雨で確認後、内部のクロスと下地を張り替えます。
お客様には大変ご迷惑をおかけしました。雨を漏らせてしまったにもかかわらず、今までと変わらず接してくださっているお客様に感謝です。二度とこんなことがないよう、職人ともども反省しております。