土地を買うとき

土地探しの重要性については別コラムでご説明しましたが、ここでは候補の土地が見つかってから購入までの具体的な手順についてご説明します。

1)買付申込

購入したいと思える土地が見つかったら、紹介してくれた業者さんに、”買いたい”という意思を伝えます。

業者は「買付申込書」「購入申込書」など呼ばれる書面を作成し、売主に申し込みます。

お客様(買主)は、その書面に、氏名・住所等のほか、希望する購入金額・契約時期・引渡し時期・支払方法などを記載し、正式な意思表示であることを示します。

ここで、申込金として数万円を求められることもあります。値段交渉などを伴うとき、申し込みが冷やかしではない証拠としてとるものです。支払った金額は、成約した際の仲介手数料等に充当されます。成約に至らなかった場合は返金されます。

2)売渡承諾

買付申込を受けた売主が、申込内容を承諾すれば、「売渡承諾書」と呼ばれる書面を交付します。

これで事実上の契約成立となります。

3)重要事項説明、契約

契約に先立ち、購入する不動産の内容を詳しく書いた「重要事項説明書」という書面に基づき、宅地建物取引士から説明を受けます。場所によって、さまざまな法律の規制があり、希望する建物が建てられないこともあり得ます。しっかりとした調査に基づき書面を作成し、説明する必要があるので、必ず宅地建物取引士から説明を受けます。

売買の詳しい条件などを定めた売買契約書を作成し、取り交わします。契約書の内容は、宅建協会の共通書式を使用することが多いので、特別注意が必要ということはありませんが、一般の方が不動産の売買をすることはめったにないので、聞きなれない言葉もたくさん出てくるかもしれません。せっかくなので、わからないことは質問して、納得してから契約をしましょう。

契約金の際、手付金を支払います。購入代金の10%程度を目安に任意の金額を決めます。購入代金にかかわらず、100万円とかキリのいい金額にすることも多いです。

手付金はローンでは間に合わないので、手持ち資金から出す必要があります。

4)引渡し、決済

通常のスケジュールでは、買付申込後1~2週間で諾否の意思表示があります。その後おおむね1か月以内に契約締結となります。契約締結後、住宅ローンの本申込・審査を経て、決済となります。ここでも、契約後1~2か月の猶予を取るのが一般的です。

不動産業界では、引渡のことを”取引(とりひき)”といいますが、お金の受渡と同時に権利が移るのではないという点に注意が必要です。

取引時に、銀行はローンを実行し、お金を出してくれます。

買主は、銀行から借りたお金で代金を支払い、売主は、代金と引き換えに、所有権移転登記に必要な書面をそろえて渡します。また、銀行は土地に抵当権を設定しますので、買主は抵当権の設定に必要な書類をそろえて渡します。

つまり、この時点では、登記は完了しておらず、売主はお金をもらえますが、買主と銀行は何も手に入れていない状態です。

買主は所有権移転登記、銀行は抵当権設定登記に必要な書類を、信頼できる司法書士に預け、登記手続きを委任します。

数日後、登記が完了し、司法書士から登記識別情報(権利証みたいなもの)を受けとり、ようやく完了となります。

世間をにぎわした地面師は、このタイムラグを利用した詐欺行為ということになります。

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