建築家のつくる家
先週末建築家の中村好文氏の講演を聞きました。
講演の内容は、最近はやりのエコ住宅ではないですが、自然エネルギーだけで生活する実験住宅のお話でした。
中村氏によると、文明・文化はかつて線と管で造られてきた、すなわち、電線・電話線などの線や水道管・下水管などの管をつなぐことで、文明化したといいます。それが一巡した今の時代、本当に豊かな生活とは何かを問いかけたとき、逆に線と管から解き放たれることによって文明・文化ができるのではないかと考えたそうだ。
といっても、原始人のような暮らしをするのではなく、持てる技術と知恵を振り絞って、快適な生活をしようというもので、ソーラーパネルと風力発電機でわずかながら電力を確保し、雨水をためることで水を利用できるようにしています。
何年もかけてスタッフの手作りで建てられたレムハットと呼ばれるその建物は、いわば山小屋のような建物なのですが、線と管から解き放たれた、新しい文明なのかもしれません。
中村氏は講演の中で何度も”カタチではいってはいけない”ということを繰り返しておられました。機能をとことん考えることがデザインであり、最近はやりのデザイナー住宅みたいなものを二世帯住宅をもじって”見せたい住宅”と言っておられました。レムハットのように余分なものをそぎ落とした究極のカタチでありながら、周りの景色と一体となった美しさをもっているのはさすがです。