河井寛次郎記念館
東山五条から少し入ったところに河井寛次郎記念館というところがあります。先日の京都鴨川建築塾で見学に行きました。
陶芸家の河井寛次郎氏の自宅をご家族が記念館として開放しておられ、特に何の展示があるというわけではないのですが、次から次から見学者が訪れる不思議な場所です。
お孫さんで学芸員をしておられる鷺さんが、思い出話を交えながら、寛次郎氏の創作活動の変遷を説明してくださいました。
寛次郎氏は島根県出身でお父さんは大工で、この建物は島根から職人さんが来て建てたものだそうです。観光客の方にはこれが京町家家のように見えるかもしれませんが、近隣の風情に倣ったところもありますが、つくりは全く違います。これを建てたころ、寛次郎氏は、木工や家具の制作なども手掛けておられ、この家の家具はすべて寛次郎氏のデザインだそうです。
鷺さんのお話によると、多くの書生(弟子)さんやお手伝いさんもおられる上に、外国人も含め多くのお客様が毎日来られていたそうで、ご家族にとっては自分の家というよりみんなの家という感覚だったそうです。そのなごりか、今でも多くの見学者に丁寧に接してくださいます。面白いのが、年間パスを発行しておられ、ちょくちょくやってきては気に行った場所で本を読んだりして過ごされる方もおられるのだとか。普通の観光スポットとは違い、何となく癒される不思議な雰囲気があります。